
英語を子どもに習わせると、月にいくらかかるんだろう。
幼稚園・保育園・こども園を選ぶ基準
こんにちは。あやめでございます。
小さいお子さんのいらっしゃるご家庭の奥様、お子さんは幼稚園に行かせていますか。それとも保育園?
どんな基準で園を選びましたか。
初めてわが子を園に預ける、となると、どの親御さんもナーバスになるもの。
当然、園選びは慎重になります。
少しでも子どもに合った所を、と思うものですよね。
数多ある基準の中で、これは気にしなくてもいい、という優先順位が低いものがあります。
それは、英語教育。
幼児に英語は必要か
人気の英語教育ですが、私は子どもに英語を習わせる気はありません。
将来、英語は必要だと思いますが、幼児のうちから英語を習わなくてもいい、という意味です。
私は以前、フィリピンの某大学で日本語を教えていました。
「外国語としての日本語」を教える中で気づいたこと、
海外で生活する中で感じた「外国語を身につける」ということ。
私の考えを少し語りたいと思います。
あなたの母語は何ですか
母語とは、生まれてから自然と身についた言語のことです。
日本人の大多数は、母語が日本語です。
いわゆるネイティブスピーカー。
日本語ネイティブの私たちが英語を話すには、学習して使えるようになる必要があります。
母語は第一言語ともいいますが、これに対して学習して身につける言語を第二言語といいます。
つまり、こういうこと。
第一言語:日本語
第二言語:英語
日本語ネイティブは日本語で考え、日本語を使って英語を学習します。
英語から日本語に翻訳する作業を脳内でして、日本語で理解します。
物事を考える基盤となるのが、第一言語、母語なのです。
言葉を話せるようになるのに、文法は要らない?
英語が苦手な理由に「文法」を挙げる人、多いですよね。
日本語は勉強しなくたって話せるようになったんだから、文法なんて要らなくない?
なんていうのも耳にします。
気がついたら日本語を話せているので、勉強してないように感じています。
子どものころ日本語の文法を親から習ったよ、なんて話も聞きません。
でも、実は日本語が話せるようになるのには、結構時間がかかっているのです。
母語はいつごろ出来上がるのか
お子さんが話し始めたのは、何歳ごろでしたか。
はじめは「まんま」「ブーブー」などの単語レベル。
それが「まんま、たべる」などの簡単な文が話せるようになります。
そのうち「お腹すいたからご飯たべたい」なんて感じに話せるようになるのが、だいたい3歳ごろ。
生まれたときから、正確には産まれる前から日本語のシャワーを浴びつづけて、それなりに話せるようになるには3年はかかるのです。
3歳児の日本語は完璧ですか?
まだまだですよね。
「これ好きくない」とか「もう出来られる」など、文法的な間違いもよくします。
間違った日本語は生活の中で訂正される場合もありますし、まわりに笑われたりして自分で気づいて修正していく場合もあります。
そうやってトライ&エラーを繰り返し、そこそこマトモな日本語を手に入れるのは、およそ6歳ごろ。
しかし、これはまだ基本の会話ができるだけ。
小学校に入り、読み書き(=学習)ができるようになるのは、10歳ごろ。
母語をモノにするのは、10年かかるのです。
母語の日本語と学習言語の英語
母語で10年かかるなら、母語じゃない英語はもっとかかるんじゃ …
それならなおさら早めに英語教育始めないと …
なんて思っちゃった方、落ち着いて。
学習言語の方が、時間はかからないのです。
それは、言葉の仕組みを母語で考えることができるから。
その仕組みこそが文法なので、英語を学ぶときには文法が必要なのです。
母語がしっかり身についていれば、それが学習する力の基礎となります。
学習する力とは、自分で考える力(=思考力)。
基礎がしっかりしていないと、思考力は身につきません。
そして思考は言葉でするもの。
母語が日本語の私達は、日本語で物事を考えています。
考え事をしている時に話しかけられると、集中できませんよね。
基礎である日本語を固めている最中に英語が入ると、基礎が固まらない可能性があるのです。
本気で使える英語を身につけたいなら、日本語を身につけて、その上で英語を学習する、とした方が効率がいいのです。
日本語教育の現場で見た「ペラペラの人」
母語が大事だってのは分かったけど、早く始めないと発音が身につかないんじゃないの?
そんな話もよく聞きます。
ですが、そんなことはありません。
発音の良さは早く始めたかどうかではなく、耳の良さによると思っています。
英語だと、よく「LとRが聴き分けられない」問題がありますが、これは数をこなせばできるようになります。
まずは聴き取れないと、発音をすることもできません。
意識して聴き、それを口に出す。
口の中のどこに舌の位置があって、どんな息の出し方をして …
細かく意識をすればできることなので、これは大きくなってからでもできます。
また、小さい時に話せたとしても、話す環境がなければ使わないうちに忘れていきます。
継続的に使える環境があってこそ、英語を早く始める意味がでてきます。
ただその場合、日本語で考える力、深く考える力がつかない可能性もあります。
英語ペラペラだけど学校の授業についていけない、というのでは、進学そのものが危ぶまれます。
次からはフィリピンに住んでいたときのお話。
私が目にした実例を3つ紹介したいと思います。
①高校から勉強して日本語がペラペラになったフィリピン人
まずは外国語として日本語を学習し、身につけた例から。
フィリピン人の同僚Tの話。
Tは生まれも育ちもフィリピンで、日本に行ったことがありませんでした。
両親ともフィリピン人で、親戚に日本人もいません。
高校から日本語を勉強し始めて、大学生のころにはかなり話せていました。
大学卒業後、そのまま大学で日本語を教えることに。
日本人スタッフとは日本語で会話し、メールも日本語。
漢字もかなり書けますし、日本語のマンガもよく読んでいました。

Tからもらった年賀状
Tは分からない日本語があると、マメにメモして先生に聞いていました。
音楽が好きで、歌が上手かった。
(歌が上手い学生は、総じて発音が上手です)
Tはその後日本に留学し、NHKのど自慢に出たりしてました。
なんだかんだで今は大阪で仕事をしています。
②フィリピンで生まれ育ち日本に戻った日本人
次は子どもの場合。
こちらも大学の同僚の話です。
日本人の同僚で、奥さん(日本人)同伴で来ている人がいました。
奥さんは第1子をフィリピンで出産、その子は小学校にあがるまでフィリピンで生活していました。
家庭では日本語で、近所の子とは現地の言葉で話していて、当時ペラペラでした。
それから日本に戻り、しばらくすると現地の言葉は忘れてしまったそうです。
私が日本で会ったとき、帰国して3年が経っていましたが、普通の日本の男の子でした。
③日本で生まれてフィリピンで育ったハーフ
日本とフィリピンのハーフと言えば、日本人の父(中高年)とフィリピン人の母(若い)の組み合わせが多いです。
が、このケースは日本人の母とフィリピン人の父。
大学の関連校で働いているAさんはフィリピン人と結婚し、子どもを授かりました。
日本に里帰りし、出産。
産後しばらく日本で暮らしたあと、フィリピンに戻ります。
家庭では日本語。ご主人も少し日本語ができます。
私がフィリピンにいたころ、その子はまだ小学校に上がる前で、主に日本語を話していました。
フィリピンで暮らしていますが、母語は日本語です。
父方の親戚の子たち(母語は現地語)とはあまり話せず、人見知りをしていました。
フィリピンはタガログ語を中心に様々な現地語があり、普段はそれで話すのですが、学校の授業は英語で行われます。
Aさんは子どもが小さい頃は童謡や絵本を通じて、日本語で日本文化を伝えていました。
日本語は「手段」でした。
しかし、学校が始まると、英語での読み書きが始まります。
日本語を読み書きする機会は、Aさんが作らないとありません。
最近では日本語が手段ではなく、教える「目的」になってきているそうで、Aさんは子どもの言語をどうするか悩んでいるそうです。
3つの実例から分かること
以上、3つの実例を挙げました。
実例から分かること。
- 高校から始めても、ネイティブ並みに話せるようになる
- 子どもの頃ネイティブ並みに話せても、忘れる
- 母語でも、あまり使わない環境で維持するのは難しい
このことを、日本での幼児向け英語教育に置き換えて考えてみましょう。
子どもは頭が柔軟で、適応力もあります。
日本に居ながらにして、英語まみれの生活をすれば、話せるようになることも可能でしょう。
しかし、すぐに覚えるということは、同時にすぐに忘れるということ。
英語が話せても、使わないとすぐに忘れていきます。
小学校に上がれば覚えることがたくさんあり、学校で英語を話す必要性もありません。
家では日本語。
友達と遊ぶ時も日本語。
テレビも本も、日本語で楽しめます。
海外に行って生活していても、使わなければ外国語は身につかないのです。
まして英語ができなくても困らない環境では、英語力を維持するのは相当大変なこと。
その労力と費用対効果を考えると、幼児向けの英語教育は、コスパが悪い気がします。
小学校で始まる英語教育の内容とは
えーでも、小学校で英語が必修になるって聞いたんだけど。
それって英語ができないと困ることになるんじゃないの?
確かに、2020年から英語が小学校で必修になります。
私達が子どものとき、英語は中学校から学ぶものでした。
自分の経験していない小学校英語。
一体どんな内容の授業になるのか、うちの子はついていけるのか。
不安に思うお母さん方も多いでしょう。
授業内容については、文部科学省のサイトにガイドブックが掲載されています。
↓
小学校の先生向けのガイドブックですが、誰でも見られます。
ガイドブックに書いてあることを要約すると、小学校の外国語教育の目的は
「外国語に慣れ親しむ」こと。
では実際の授業は何年生からやるのか、どんなことを扱うのか。
ざっと概要をご紹介します。
小学校中学年(3・4年生)は「外国語活動」
英語の授業は小学校3年生から始まります。
3~4年生は「外国語活動」という科目になります。
外国語活動の目的を一言でいうと、
日本語との違いを体験して、慣れてね
て感じです。
授業数:週に1時間
内容:「聞く」「話す(やりとり・発表)」
あいさつ、歌、おどり、ゲーム、等
例文:what do you like? I like tennis.
まず、最初のうちは「聞く」活動を十分に行います。
少しずつ真似をして口慣らしをしたあと、「話す」活動に進めていきます。
音声のみの活動ですね。
小学校高学年(5・6年生)は「教科外国語」
小学5年生からは少し踏み込んだ内容になります。
国語や算数のように、「外国語」という科目。中学校への連携も意識されています。
こちらの目的は、
外国語で自分を表現できるようになってね
て感じなので、音声だけでなく、文字も始まります。
授業数:週に2時間
内容:「聞く」「話す(やりとり・発表)」「読む」「書く」
宝探し、ペアになって伝え合い、親しんだ語句を書く、等
例文:What would you like? I’d like spaghetti.
自分を表現するうえで、必要となるのは思考力、判断力、表現力など。
日本語で表現できないことは、英語になっても表現できません。
小学校の高学年ならそろそろ「自分」というものを持っています。
- 何が好きか
- どういう人に憧れるか
- 何がいけないことか
- 自分はどうすべきか など
それらを表現するために、「英語」という違った角度からの表現を利用する、ということ。
ガイドブックを読む限り、小学校の英語教育は、あくまでも日本語の表現力を高めるための補助的な役割だと思います。
英語の授業は週1~2時間。
それ以外の圧倒的な時間を日本語で過ごしているわけですから、その程度では日本語は揺らがないでしょう。
逆に英語が刺激になって、脳の活性化にいいよね、くらいの認識でいいと思います。
小学校の英語は話せるようになるのか
反対にいうと、英語が話せるようにもならないと思います。
外国人に「日本語を週に90分勉強してるんです!これで日本語ペラペラになれますよね!」って言われたら
日本語なめんな
てなりますよね。
そういうことです。
あと、クラスに子どものころから英語を習っていた子がいたとします。
始めはアイツすげー、みたいになるかもしれませんが、たいていの場合、すぐに追いつくレベルです。
逆に先に習っていたことで余裕こいてる間に、小学校から英語を始めたクラスメイトに抜かされる心配をした方がいいです。
英語教室では通じていた英語が、ALTの先生に話しかけたら通じなかった、クラスメイトの前で恥かいて心折れて英語が大嫌いになる、というパターンもお気を付けください。
小学校の英語で文法の勉強はある?
ところでこのガイドブック、英語の文法のことにはあまり触れていませんでした。
主眼が「外国語に慣れてね☆」なので、おそらくですが、文法をガッツリ学習する、みたいなことはないと思います。
※個人の感想です。
ただ、日本語ではこういう仕組みで出来てるんだよ、それに比べて英語は、みたいな形ではあるかもしれません。
もし自分が教えるなら、ただ「いいから覚えて」って言うよりも、仕組みを伝えた方が理解が早いと思うんですよね。
※あくまで個人の推測ですので。ご承知おきを。
「英語に興味だけでも持ってもらいたい」時は
英語を苦手だと思っている親ほど、子どもに英語を習わせたいと思うようです。
自分がした苦労は、子どもにさせたくないものですよね。
いくらコスパが悪いといわれても、やっぱり子どもには幼児のうちから英語に触れさせてあげたい、
そう考える親御さんもいると思います。
もう英語教室に通わせているお宅もあると思います。
もちろん子どもが英語に興味があって、楽しく通っているなら何の問題もありません。
自分が楽しいと思うことなら、子どもはすごい集中力を発揮しますよね。
そしてその「楽しい」体験が、その後の学習への原動力になるものです。
ただ、そのことで英語がペラペラになる、というのは期待しない方がいいでしょう。
では、子どもに英語を習わせたいけど、興味を示さない場合。
「せめて英語に興味を持ってもらいたい」場合、親はどうしたらいいのでしょうか。
答えは簡単。
親が英語で楽しんでいるところを見せる
言語はあくまで「手段」です。
「目的」になってしまうと、楽しめません。
(研究者にとっては楽しいでしょうが)
料理が趣味の人は、英語のレシピサイトを。
ゲームが趣味の人は、英語で表示されるゲームを。
スマホを英語設定にするのもおすすめ。
Twitterでトランプ大統領をフォローしても面白いかも。
そうやって興味のある分野を英語でなぞります。
あくまで目的はその内容で、内容を知るために英語という手段を使うだけ。
律儀に全部分かろうとしなくていいんです。
大体のところが分かれば。
ネットで調べものをするときに、ポイントとなるところ以外は流し読みをする感覚。
英語を使って楽しそうにしている親の姿を見ると、子どもも自然と英語に興味を持ちます。
子どもの一番興味があることは何か、知っていますか。
お母さんです。
お母さんが楽しそうにしていることが、一番子どもに響くのです。
【まとめ】幼児の英語教育、私の考え
長くなってしまいましたが、最後に幼児向け英語教育について、私の考えをまとめます。
日本に住んでいる、両親とも日本人の幼児を想定した場合、
- 幼児に英語は必要ない
- 思考力を養う「遊び」を優先に
- 小学校の英語の予習はいらない
- 子どもに英語をさせたいお母さんは、まず自分が英語に興味を持つ
親たちはみな、子どもの幸せを願っています。
子どもに良かれと思ってやったことが逆効果になってしまったら、悲しいですよね。
子どもが小さいうちは、自分で考える力を磨くことに助力しましょう。
遊びの中で、子どもは発見し、仮説をたて、実験し、気づきを得ます。
そのプロセスこそが論理的思考力。
そうやって論理的思考力を鍛えることが、一生使えるその子の財産となるのです。
お母さんたちが気負わず楽しんで子育てできますように。
少しでも参考になったら幸いです。
コメント
私も薄々、不要な気がしてたんですよね。
なにか腑に落ちました。ありがとうございます!!
こちらこそありがとうございます!
「ホントは要らなくない?」ってどこかで思ってる方、けっこう多いと思うんですよねぇ。
英語コンプレックスは根深い。